01 「物流不動産」という考え方を日本に持ち込み、その確立を目指し続けてきた

プロロジス日本法人 山田 御酒
代表取締役会長 兼 CEO 山田 御酒 

25年前、日本の物流業界には、「物流不動産」という考え方そのものがありませんでした。私たちがアメリカから持ち込んだ物流不動産事業とは、つまり賃貸型の物流施設のご提供です。大規模な物流施設を開発して、それを起点にしつつさらに多くの充実した物流施設を開発して物流スペースを必要とするお客様に使っていただく…そんな事業を展開しようと考えました。

ところが、これがなかなか理解されませんでした。当時の日本では、自社の資金で自社の物流施設を開発し保有するのが当たり前とされていました。機関投資家から資金を集め、施設を作り、それを賃貸するなど到底考えられないこと。多くのお客さまから「投資家に施設や事業を奪われてしまうのではないか」「危険なのではないか」といった声をいただいたことを覚えています。

それでもなんとかして、新しい物流の在り方を創りたかった。「ものを運ぶだけ」「きつく危険な単純作業」というイメージを持たれがちだった物流業を、大きな資金を動かし革新的な施設を作ることで、より高度でイノベーティブな「ロジスティクス」というイメージに塗り替えたかったのです。

自分だけが成功するのではなく、お客さまのために、業界のために。私たちは25年間、そんな思いで、物流不動産というセクターを確立すべく前進を続けてきました。そして、今、物流不動産というセクターが、オフィスビルや大型商業施設ビジネスと同じように当たり前のものとしてしっかり認識されるようになっています。25年の歩みや重み、そして感謝を、改めて実感しているところです。

02 多層階物流施設の開発、免震装置の設置などすべてが新しく、難しいチャレンジだった

私たちの取り組みは、「すべてがターニングポイントだった」と言ってよいほど、難しく新しいものばかりでした。

私たちは、2002年に江東区に開発した「プロロジスパーク新木場」を皮切りに、これまで117棟の物流施設を新規開発しています。多層階でらせん状の長大なスロープを備え、45フィートのトレーラーが自走で上層階まで上がっていける設計の物流施設です。こうした施設は、私たちが着手するまで、国内はおろかアメリカにもありませんでした。私自身が設計図を見せながらアメリカの本社や国内のお客さまに説明して回ったのですが、「物流施設は平屋が基本なのでは? 本当にトラックで上がれるのか?」「事故があったらどうするのだ?」と懐疑的な意見が多かったと記憶しています。

プロロジスパーク草加
プロロジスパーク草加
カフェテリア
施設内カフェテリア(プロロジスパーク京田辺)

私たちの物流施設は、内装にもこだわって設計しています。壁や床に大理石を使用した広々としたエントランスを設えたり、最上階の見晴らしのよいところに瀟洒なカフェテリアを設置したり……。また、子育て中の方も安心して働いていただけるよう施設内に保育所を作りました。お手洗いも、明るく清潔で洒落たデザインにしています。

こうして、いままでの倉庫とは一線を画す新しい物流施設を創り上げてゆくことで、物流のイメージを変え続けてきました。最初は懐疑的だったお客さまも次々と「これはすごい」「ぜひ我が社も利用したい」と言ってくださるように、多くのお客さまに共感をいただいています。

その後、2004年には免震装置をつけた施設の開発を行いました。これも当初はあまり理解されず、「免震装置などつけなくていいからコストを抑えてほしい」という声を多くいただきました。しかし私は当時から、「有事のときこそ物流が力を発揮する」「地震が多い我が国だからこそ、免震装置が欠かせない」と考えていました。物流は、単にものを運ぶだけでなく、社会のインフラたる非常に重要なものである──、そんな思いがあり、確固たる意志で工事を進めたことを覚えています。

そしてそれから、東日本大震災が発生しました。免震装置付きのプロロジスの物流施設では荷物がひとつも落ちることなく、すぐに配送業務を再開することができたと聞いています。

免震装置
免震装置(プロロジスパーク大阪2)
地下水浄化システム

他にも、ソーラーパネルを設置して環境負荷の軽減に配慮したり、非常用発電機を確保したり、貯水タンクを設けて断水しても1か月はお手洗いが使用できるようにしたりと、なにがあっても大丈夫なように、常に進化を続けています。

いずれの取り組みも業界の先陣を切る、新しいことばかり。それゆえにとても難しく困難が伴いました。しかし、「常識にとらわれずに物流の未来を創るのだ」という思いでやり通し、とにかく実際にものを作って実績を積み上げてきました。そのうちに、「これは素晴らしい仕組みだ」「うちもやろう」という会社が増えてきた。いつの間にか仲間を増え、業界の水準全体が上がってきたように思います。

私たちプロロジスの先陣を切るアクションが、ロジスティクスへの道を作るひとつのきっかけとしてお役に立ったのではないかと、25年経った今、しみじみと感じています。

03 共同輸送の推進、エネルギー事業への進出も!未来に向けて、さらなる変革に挑む

プロロジスの強みは、土地の購入から、設計、施工、管理まで、一気通貫で行えるところです。すべての工程を自社で行うことで、より深く、物流の課題や仕組みが理解できるようになったと実感しています。物流に関する技術やノウハウ、お客さまのご要望も、直接当社に集まってきています。これによって、よりよい物流施設や物流の仕組みが構築できているのです。

こうした知見を活かすため5年ほど前に、社内にコンサルティングチームを立ち上げました。現在はこのチームを中心に、よりよい庫内オペレーションの仕組み・効率化やソリューションの提案なども行っています。

蓄電池
蓄電池(プロロジスパーク草加)

今後は、エネルギー事業に本格的に取り組んでいく構えです。物流施設の広大な屋根に設置したソーラーパネルで、施設内の電力を賄うだけでなく、地域に電力を供給するということをしたいと考えています。また、入居企業の電力グリーン化・環境負荷軽減の支援にも取り組んでいます。

「物流の会社がエネルギー事業?」と疑問に思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、これらはすべて、余剰のエネルギーを無駄にせず活用したい、地域や社会に貢献したいという思いから出てきたアイデアです。これからも、あくまで物流を中心に、お客さまや社会に喜んでいただける新しい周辺ビジネスに取り組んでまいりたいと思っています。

また、「物流の2024年問題」の解決に向けて、共同輸送の推進をサポートしていく考えです。2024年問題の解決には輸送効率化と積載率向上が肝要です。その鍵となるのが共同輸送ですが、企業ごとの商習慣等の違いから調整が難しく、実現に至る例は多くありません。そこで「第三者的な立場での旗振りを」とお客さまからプロロジスに相談が寄せられ、2022年に「共同輸送コミュニティ」を立ち上げました。荷主企業の皆様にお集まりいただき、共同輸送の実現に必要な知見を提供するとともに、業種の垣根を越えて事例共有や情報交換を行う場としてご活用いただいています。

ここまででお話しました通り、私たちは25年間、物流の一歩先を行くチャレンジに数多く挑み続けてまいりました。これからは、物流施設の省人化・無人化が進み、恐らく、まったく新しい物流の在り方に業界全体がシフトすることでしょう。そうした未来に向けて、例えば、自動運転の実証実験に参加する、省人化・無人化を見据えた物流施設を設置するなどの試みにも積極的に参加したいと考えています。あわせて、物流業界に寄与する技術を有するスタートアップベンチャーのサポート・資金援助も、継続して実施する構えです。

プロロジス日本法人 山田 御酒

これからも、お客さまのため、地域のため、社会のため、そして物流の未来のために。業界のパイオニアたる誇りと自負を持って、絶えることなく革新的な挑戦を続けていきたい。30年、50年、100年と、ロジスティクスとともに成長し続けたいと、そう強く、思っています。変わらぬご支援、ご愛顧を、どうぞよろしくお願いいたします。

プロロジス日本法人
代表取締役会長 兼 CEO 山田 御酒

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